インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針
UI/UX関連の本ではありますが、筆者の得意分野的に一般的な心理学や行動学からそれを踏まえた上でインターフェイスやUXデザインをするにはこういうアプローチをしたほうがいいですよ、という流れのポイントが10章100ポイントでまとめられています。
1章の「人はどう見るのか」から、「人はどう〜するのか」形式で「読む」「記憶する」「考える」「注目する」「ヤル気になる」のかと進んでいきます。 前半は実作業でデザインする人にはより実践に結びやすい内容と思います。
後半は心理学的な感じ方の話がメインで、社会的な結びつき、感情、間違えや決断に関しての章が続いていきます。
印象に残った点を何点か引用します。
見えてはいないものの直視はしていない視野を周辺視野というが、対象の全体像を掴む際は中心視野より周辺視野を使ってさまざまな情報を補完することが多い。
左から右に読む言語を主言語としている人であれば、コンピュータの画面も左から右に見る傾向がある。
とはいえ、ブラウザの左上の角(ロゴやナビゲーション)から見始める人はほぼいなく、端は避けて画面の中の方をみる傾向がある。
これはよく言われていることですがメモとして
(英語の場合) 単に読み慣れていないだけで小文字より大文字のほうが読みづらいということはない。
人は文章を読むとき、短い時間の静止を挟んで(これを「固視」という)1度に約7〜9文字分ジャンプする(これを「サッカード」という)を繰り返す。
サッカードの移動で実際に知覚している範囲はその2倍で、これは周辺視野を利用している。
エックスハイトが大きいと文字は大きく見える
同じ font-size:
でもフォントファミリーでサイズが違うように見えてしまうのはこれが要因ぽいですね
いくつかの情報のまとまり(チャンク)に分けてグループ化することで3つあるいは4つの数字のチャンクを覚えることができる場合がある。
例)電話番号 090-1234-5678
記憶は思い出すたびに再構築される。また後になって起こった出来事が、前にあった出来事の記憶を変えてしまうことがある。
フィッツの法則 を使えば科学的な基準を元にボタンの適切な大きさを決めることができる。 速さ、正確さ、距離の間には関係があるということ
参考: フィッツの法則
ある作業を行っているのに、いつの間にか作業とは関係のないことを考えている状態 = マインドワンダリング
Apple 製品のインターフェイス、iPhone / iPad を使ったことがある人はその製品を使って何かしらの作業をすることの「メンタルモデル」を持つ。
何もかも忘れて没頭してしまい、他のすべてから離れ、時間の感覚も変わり、自分が何者でどこにいるのかも忘れてしまう状態をフロー状態という。 ゾーンと同じぽいですね。
自分が好きなゾーンに入る方法は 『ゾーン』に入る方法
(牛と背景の写真) 西洋人に写真を見せると、前景にある中心的なものや目立つものに注目しますが、東洋人は写真の状況や背景に注目する傾向があります。
飛ばしすぎて前半だけになってしまいましたが、ざっくり大事そうで今後も覚えておきたいことはこんな感じです。
デザインの実作業をする人にも向いている本だと思いますが、より向いているのはより上流のディレクション業務やマーケティング的な業務する人にも向いている内容と思いました。
なかなか実務でどう使えるかは難しいかもしれませんが、頭にほんのり残っているものから使っていこうと思います。