構成はWeb Typograpy, Accessibility, Web Font, Historical Changesの大項目からなり、上記の各10ページ前後のコラム文、それらに関する10例程度の事例を画面キャプチャ付きで掲載されています。 コラムもビジュアル多めなので文章を読む感覚はさほどなく、めくりやすい本だと感じました。
気になった点などのメモです。
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を適用しているサイトはなし。事例の選定、イトイ新聞とTHE FASHION POST、Yahoo!ニュースのピックアップでらしいなあと思った。
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, letter-spacing
を使うことが代表例だが、イラレからアキ情報取って使うことも可能(getKerning)text-align: justify
にすると欧文の長めの単語が入ると前の行が不自然に開くときも。 そのときは hyphes: auto
にデジタルメディアの特徴や課題として、
リリース後ほぼ変わらないコンテンツを最大限に魅力的につくろうとする取り組みとは逆に、どんな内容でも見やすい状態を提供する可視・可読性のためのフォーマット設計の方を重視すべき場面も多い。
とありますが、自分も最もデジタルで考えるのはその点。うまいデザイナーの定義あげるとするとその点がうまい人がWebのデザインがうまい人と思ってます。
また乗り越えておきたい課題として、「実装者を評価する」をあげています。
デジタルメディアのエンジニアは、視覚的な完成度や意味、文書構造、情報構造などに対する興味が薄い場合がある。プログラム的素養を高めるほうが業界での年収が上がりやすい一方で、視覚的な再現はエンジニアリングを介さずとも実現できる仕組みづくりが活発になってきているため、目標とし難いのが実情なのであろう。 ... プログラムしたものを伝わる、使える形に転換できる。そんな実装者を評価し、よきパートナーとなることもクオリティ改善の一助となるであろう。
こちらも深くうなずきたい部分で、デザインの再現性や汲み取りする能力をエンジニアは評価されづらいと思う。(or そもそも評価軸がない。)それはエンジニアの評価はエンジニアが行うというのも大きいように感じていて、より良いものが世の中に出回るようにデザイナーや視覚性を大事にしている人がもっとフックアップ的なことをすることも大事なのかなと思っています。
Apple, Google, Uber, Dropbox, Atlassian, Facebook, Twitter, Figma, 楽天, メルカリの書体選定や使用例。
確かにAppleのSan Franciscoなど自社開発でのフォントが増えるなか、TwitterはHelvetica Neueを使用していて普遍性を強調しているのが印象的です。最近、Chirp フォントが出回っているので、そのようにサービスに組み込まれるかも楽しみです。
日本語環境におけるWebフォントの課題について、Webフォントを導入すると重くなる、は必ずしも正解ではなく、さまざまな配信技術やレンダリングの方法があるのでそれを使っていきましょうという方向性の話でした。
表示が遅く感じる理由は、システムフォントが表示された後に、Webフォントの表示が開始されることに起因していることが多い。つまり、この画面がチラつく挙動が遅さを感じさせてしまうのである。
確かに盲目的にWebフォントは遅いっていうイメージにとらわれている感は否めないので、きちんと切り分けして考えないとなと思いました。
この本に掲載されているような文字周りのCSSって、ボックスをレイアウトしたりするCSSとはまた別で、そこの対象範囲で興味を広げないと今のブラウザでできることやスタンダートなことを捉えるのがなかなか難しかったりすると思っているのですが、今回この本を通してそのあたりはインプットできた印象があります。
ただもっと大枠の選定の話とか、先日のイベントの際にも感じましたがここ数年追えていない感が残っていて、たづがね角ゴシックは結構使いやすいと言われてる書体なんだなとか、そんな程度なのでもうちょっと追いついておきたいなあという焦りも持ちました。
オンスクリーンに絞ったタイポグラフィ系の書籍は ウェブタイポグラフィ もありますが、今回のオンスクリーンタイポグラフィも初学者が読むには敷居が高めな印象もあるので(基礎的な内容もあるが発展系への展開もある部分で)、もう少し大衆的な雰囲気のあるベーシック部分をカバーした書籍も今後出るともっと裾野が広がるというか興味を持ったり意識を持ちながら仕事をする人が増えるのかなと感じます。
決して教科書的なこうしなさいというやり方を教える成分は弱めかなと思います。こういう考え方がありますよの提示的要素の強い本だなという印象です。
ともかく久しぶりに発売が楽しみな本があって、それを予約して届いて読んで、執筆陣も個性豊かでとてもお気に入りの本になりました。